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鰹節たっぷりのお雑煮のこと。

by 優恵

 知り合いのお庭で取れた柚子をたくさん頂いた。湯船に入れて柚子湯にしてと言われたけれど、せっかくなのでお雑煮に入れよう。ドレッシングにも使って、マーマレードは最後にしよう。

 乾物屋の鰹節の前でどれにしようかと悩んでいた。花鰹、糸節、それからその中間くらいのもあって、どれも旨そうだけれど、我が家での使い道は決まっている。

「どれが良いかしら、うちはね、お雑煮の上に掛けるの」

気付くと小柄な老婦人がわたしの顔を見ながらおっしゃる。

「これは出汁を取るのよね?」

「そうですね、こっちのはお正月に数の子に掛けたりする大きさですよね」

「うちはね、お雑煮にたっぷり掛けるのよ」ともう一度。

聞いている内に口中に唾が出てくる。

「じゃあ、大きさはこれですよね。色はこっちがきれいですけど、こっちに最高級枯節って書いてありますよ」

「こっちの方が色がきれいねぇ、お値段は?」

「枯節の方が100円高いです」

そこへお店の方が登場。

「うちはね、お雑煮にたっぷり掛けるの」

お店の方は、それならこちらと最高級の枯節を指差した。

 細かい鰹節がたっぷりと掛かったお雑煮を想像して、それを前に仲良くふたりで新年の挨拶を交わしている様子も想像して、窓の外の冬の陽射しも想像してみた。

老夫婦って良いな、と思う。

 あと5分お店の方の登場が遅くてふたりで話を続けていたら、わたしは鰹節たっぷりのお雑煮を頂きにお邪魔できるほどの仲になっていたかも知れない。

 

 老婦人はめでたく目的を果たされ、ついでにわたしも数の子用に同じものを買って店を離れた。振り返ると、老婦人は乾物屋の向かいの天ぷら屋さんに入って行った。

 根元から捻れていて、そのまま捻れながら大きくなったのか。すごいなぁ。

 頂き物の富有柿は熟れて少しだけ柔らかくなり始めていて、食べ頃だった。驚くほど甘くて旨い。こんなに旨い柿、食べたことがない。お裾分けという名の幸せ。

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